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頭地下手遺跡

URL https://sitereports.nabunken.go.jp/15659
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DOI http://doi.org/10.24484/sitereports.15659
引用表記 熊本県教育委員会 2014 『熊本県文化財調査報告297:頭地下手遺跡』熊本県教育委員会
熊本県教育委員会 2014 『頭地下手遺跡』熊本県文化財調査報告297
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ファイル
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書名 頭地下手遺跡
発行(管理)機関 熊本県教育庁教育総務局文化課 - 熊本県
有償頒布・配布ページ http://www.kumamoto-bunho.jp/
※ 有償頒布・配布していない場合もあります
書名かな とうぢしもていせき
副書名 川辺川ダム建設事業に伴う埋蔵文化財発掘調査
巻次 1
シリーズ名 熊本県文化財調査報告
シリーズ番号 297
編著者名
編集機関
熊本県教育委員会
発行機関
熊本県教育委員会
発行年月日 20140331
作成機関ID 43000
郵便番号 8628609
電話番号 0963831111
住所 熊本市中央区水前寺6丁目18番1号
報告書種別
埋蔵文化財(遺跡等)-発掘調査・分布調査・資料調査等
資料タイプ Research Paper
発掘調査報告 掲載されている(発掘調査報告書総目録の掲載対象)
所蔵大学(NCID)
JP番号
他の電子リソース
備考
所収論文
タイトル 放射性炭素年代測定
英語タイトル
著者
株式会社パレオ・ラボ
佐々木 由香
小林 紘一
丹生 越子
伊藤 茂
山形 秀樹
瀬谷 薫
Zaur Lomtatidze
Ineza Jorjoliani
ページ範囲 371 - 374
NAID
都道府県 熊本県
時代 縄文
文化財種別 史跡
史跡・遺跡種別 集落
遺物(材質分類) 自然物
学問種別 文化財科学
テーマ 年代特定
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抄録(内容要約) 頭地下手遺跡より検出された試料について、加速器質量分析法(AMS 法)による放射性炭素年代測定を行った。その結果、放射性炭素14年代が3905〜3635±25yrBPで、縄文時代後期前半にあたる暦年代を得た。
タイトル 花粉分析(花粉化石)
英語タイトル
著者
株式会社パレオ・ラボ
鈴木 茂
ページ範囲 375 - 376
NAID
都道府県 熊本県
時代 縄文
文化財種別 考古資料
史跡・遺跡種別 集落 その他
遺物(材質分類) 自然物
学問種別 文化財科学
テーマ 素材分析
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引用表記
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抄録(内容要約) 頭地下手遺跡において堆積環境を推定する目的で採取された土壌試料を用いて花粉分析を行った。樹木花粉7、草本花粉3、形態分類を含むシダ植物胞子 3 といった総計13の花粉・胞子の分類群を検出した。
タイトル 珪藻分析(珪藻化石群集)
英語タイトル
著者
株式会社パレオ・ラボ
黒澤 一男
ページ範囲 377 - 378
NAID
都道府県 熊本県
時代 縄文
文化財種別 史跡
史跡・遺跡種別 集落
遺物(材質分類) 自然物
学問種別 文化財科学
テーマ 素材分析
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引用表記
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抄録(内容要約) 頭地下手遺跡より採取された堆積物試料を用いて珪藻化石群集を調べ、その堆積環境について検 討した。その結果、検出される珪藻殻が希薄で堆積環境を推定することはできなかった。このような状況を考慮すると、本遺跡の堆積環境は概ね陸域環境の可能性が高いと考えられる。
タイトル 植物珪酸体分析
英語タイトル
著者
株式会社パレオ・ラボ
鈴木 茂
ページ範囲 379 - 380
NAID
都道府県 熊本県
時代 縄文
文化財種別 史跡
史跡・遺跡種別 集落
遺物(材質分類) 自然物
学問種別 文化財科学
テーマ 素材分析
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抄録(内容要約) 頭地下手遺跡において総合的に堆積環境を推定する 目的で採取された土壌試料を用いて植物珪酸体分析を 行った。検鏡の結果、観察された機動細胞珪酸体は非常に少なく、イネ科植生について言及することはできないと考える。
タイトル 熊本県頭地下手遺跡出土の石器石材について
英語タイトル
著者
越知 睦和 , OCHI Tomokazu
ページ範囲 381 - 385
NAID
都道府県 熊本県
時代 縄文
文化財種別 史跡
史跡・遺跡種別 集落
遺物(材質分類) 石器
学問種別 考古学
テーマ 技法・技術 編年 素材分析
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引用表記
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抄録(内容要約) 頭地下手遺跡IV区から出土した剥片、砕片、石核、 母岩、原石といった製品以外の石器を対象として、そ の石材を分類、同定し、数量、重量をはかり、その特徴を析出して縄文時代におけるチャートの石材原産地及び石器製作址遺跡としての重要性を述べた。頭地下手遺跡は、チャートの石材原産地に立地し た、チャートを主体とした石器製作址である。また、遠隔地の石材である黒曜石が一定量出土し、かつ剥片剥離作業を認めることができるため、石材流通における主要中継地としての性格もそなえている。なお、チャート以外にも豊富な種類の在地石材が使用されており、石器の器種によって石材の使い分けがなされた。
タイトル 熊本県頭地下手遺跡出土の擦切石斧について
英語タイトル
著者
山崎 純男 , YAMASAKI Sumio
ページ範囲 387 - 398
NAID
都道府県 熊本県
時代 縄文
文化財種別 史跡
史跡・遺跡種別 集落
遺物(材質分類) 石器
学問種別
テーマ 技法・技術 文化系統 資料集成
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引用表記
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抄録(内容要約) 頭地下手遺跡出土の擦切石斧の紹介を兼ねて、九州における擦切石斧、擦切り具について検討を加えた。 その結果、九州における擦切石斧は日本列島における擦切り技法南下ルートから島根地域を経由して伝播した と考えるのが最も妥当である。東日本的文物の搬入、その影響による展開、新たな土器製作技術、擦切り技法による新たな石器製作技術の定着と展開は、以後の文化を変容・規定していく要素としてその意義は大きい。
タイトル 熊本県頭地下手遺跡出土の石錘について
英語タイトル
著者
島津 義昭 , SHIMAZU Yoshiaki
ページ範囲 399 - 404
NAID
都道府県 熊本県
時代 縄文
文化財種別 史跡
史跡・遺跡種別 集落
遺物(材質分類) 石器 石製品
学問種別 考古学 民俗学
テーマ 技法・技術 文化系統
他の電子リソース
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抄録(内容要約) 頭地下手遺跡では縄文後期前半の石錘が 1,351 点出土し、九州島で最多数の出土数である。種類は礫石錘の他、切目石錘(6 点)、有溝石錘(2 点)である。石錘の重量の統計処理から 210g を境としてa 類、b 類の2類に分かれる。このうち a 類に漁網錘が含まれる可能性が高い。b類は編物用の錘具と考える。川辺川を漁場とし、ウグイ、タカハヤ、アユ、カワムツ、オイカワ、ウナギ等を対象とする刺網漁が復元できる。
タイトル 熊本県五木村頭地の石錘と石皿
英語タイトル
著者
島津 義昭 , SHIMAZU Yoshiaki
ページ範囲 405 - 405
NAID
都道府県 熊本県
時代 縄文
文化財種別 史跡
史跡・遺跡種別 集落
遺物(材質分類) 石器 石製品
学問種別
テーマ 資料紹介
他の電子リソース
引用表記
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抄録(内容要約) 頭地下手遺跡を運動場としている東小学校保管の遺物と、附近の久領在住、荒木深氏所蔵遺物を実見する機会をえたので、二、三の注意すべき遺物を紹介する。
1971.11.21 発行、九州始原文化研究会会報 1、p7、福岡の再録
タイトル 熊本県頭地下手遺跡の調査成果
英語タイトル
著者
宮崎 敬士 , MIYAZAKI Takashi
ページ範囲 407 - 414
NAID
都道府県 熊本県
時代 縄文
文化財種別 史跡 考古資料
史跡・遺跡種別 集落
遺物(材質分類) 石器 石製品 土器 土製品(瓦含む) 繊維製品(紙含む)
学問種別 考古学
テーマ 技法・技術 文化系統
他の電子リソース
引用表記
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抄録(内容要約) 頭地下手遺跡の存立基盤を分析し、その構造と役割を検討した。頭地下手遺跡は、沿海部で活動する集団が山間部に川辺川つたいに進みいり、山間部で活動する集団を生成した初期に形成された。この動機は、釣針等に用いる石材、漁網等を仕立てる草本材等、漁撈具の材料となる山間部の産品の獲得であり、阿高式から市来式にいたる長期間にわたり維持された。なお、沿海部と山間部の両集団はそれぞれの自律性を保持して、各個に特有の産品を移出入している。
所収遺跡
遺跡名 頭地下手遺跡
遺跡名かな とうぢしもていせき
本内順位 1
遺跡所在地 熊本県球磨郡五木村甲字下手
所在地ふりがな くまもとけんくまぐんいつきむらこうあざしもて
市町村コード 43511
遺跡番号 13
北緯(日本測地系)度分秒 322347
東経(日本測地系)度分秒 1304927
北緯(世界測地系)度分秒
東経(世界測地系)度分秒
経緯度(世界測地系)10進数(自動生成) 32.3998 130.8219
※当該位置周辺を表示し、同一名称の遺跡データが存在する場合は遺跡をポイント表示します。
調査期間
20040701-20070330
調査面積(㎡)
6112
調査原因 ダム
遺跡概要
種別
集落
時代
縄文
主な遺構
主な遺物
土製品
石製品
土器
石器
特記事項 縄紋時代後期、晩期。深鉢、鉢、浅鉢、台付浅鉢。円盤形土製品。鯨脊椎骨圧痕、編布圧痕をもつ土器底部、貝殻をもちいた疑似縄紋、赤色顔料で彩色した縄紋土器が含まれる。石鏃、尖頭器、石錐、石匙、不定形石器(両面加工石器、二次加工剥片、使用痕剥片)。剥片、石核。石斧、石皿、磨石、敲石、石錘。石製垂飾再加工品、十字形石器、円盤形石器、環状石斧。 擦切石斧が含まれる。
要約 頭地下手遺跡は、九州脊梁山地の中央構造線地帯に位置し、球磨川水系川辺川の流域では2群しか形成されていない沖積地に展開した、縄紋時代(後期)を中心とした遺跡である。
縄紋時代後期の遺構は、東西方向に走る最大幅10m、延長90mの溝1条のみである。しかし、おびただしい量の遺物が調査区から検出され、ほぼすべての土器群、石器群が縄紋時代後期に属することが確認された。土器は、深鉢、鉢、浅鉢、壺形土器が組成し、阿高式から南福寺式を経て、市来式までの諸型式と九州北部からの外来系土器である鐘ヶ崎式が確認された。土器製作に際しては、鯨脊椎骨を製作台に据え、網代を敷き、二枚貝貝殻を施紋具として、赤色顔料で加飾する。石器は、石鏃、尖頭器、石錐、石匙、不定形石器(両面加工石器、二次加工剥片、使用痕剥片)、石斧、石皿、磨石、石錘が組成し、チャート等の在地石材、黒曜石等の外来石材を素材とし、敲石、剥片、石核等、石器製作の道具と副産物を伴う。
頭地下手遺跡は、縄紋時代後期に、汎列島的な石器組成と土器組成に準拠して土器と石器を製作していた、と評価できる遺跡である。土器は、鯨脊椎骨、二枚貝貝殻等、沿海部の産品を多用してつくり、その形態と法量は中九州沿海部の貝塚出土資料を標識とした諸型式に倣う。また、鐘ヶ崎式は成立から終焉までの各段階の資料が見いだせ、赤色顔料ベンガラの原材料は阿蘇地域、薩摩地域等、頭地下手遺跡から70㎞以上はなれた地域の産品となる。石器は、外来の石材をもちいた石器の74%が黒曜石製石鏃で石鏃の26%を占めている。他方、在地の石材をもちいた石器は、石皿等の重い石器で砂岩、安山岩、凝灰岩等のように遺跡周辺に分布する転礫(83%)を素材とし、石鏃、石匙等の小型石器はチャート(67%)のように基盤層構成岩石を素材としている。すなわち、重い石器は近くから、軽い石器は遠くにも石器素材を求めることを基調とし、軽重両極ほど石材と形式が限定される現象も認められる。
以上のように、頭地下手遺跡は九州全域の複数地域と物流網を形成し、各地域の産品を資源として得ていた。この物流網は、出土した鐘ヶ崎式等の外来系土器群が示すように、反復性、継続性をそなえ、さらに、汎列島的な石器組成、土器組成に係る情報網としても機能した複合構造を採っている。
頭地下手遺跡は、異なる地域文化と共存するしくみが縄紋時代後期に存在していたこと、を実証する遺跡である。

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