熊本県頭地下手遺跡出土の石器石材について
越知 睦和
( OCHI Tomokazu )
頭地下手遺跡IV区から出土した剥片、砕片、石核、 母岩、原石といった製品以外の石器を対象として、そ の石材を分類、同定し、数量、重量をはかり、その特徴を析出して縄文時代におけるチャートの石材原産地及び石器製作址遺跡としての重要性を述べた。頭地下手遺跡は、チャートの石材原産地に立地し た、チャートを主体とした石器製作址である。また、遠隔地の石材である黒曜石が一定量出土し、かつ剥片剥離作業を認めることができるため、石材流通における主要中継地としての性格もそなえている。なお、チャート以外にも豊富な種類の在地石材が使用されており、石器の器種によって石材の使い分けがなされた。