熊本県頭地下手遺跡の調査成果
宮崎 敬士
( MIYAZAKI Takashi )
頭地下手遺跡の存立基盤を分析し、その構造と役割を検討した。頭地下手遺跡は、沿海部で活動する集団が山間部に川辺川つたいに進みいり、山間部で活動する集団を生成した初期に形成された。この動機は、釣針等に用いる石材、漁網等を仕立てる草本材等、漁撈具の材料となる山間部の産品の獲得であり、阿高式から市来式にいたる長期間にわたり維持された。なお、沿海部と山間部の両集団はそれぞれの自律性を保持して、各個に特有の産品を移出入している。