伊勢湾周辺地域における方形周溝墓の埋葬施設
宮腰 健司
本文では伊勢湾周辺地域での方形周溝墓の埋葬施設データをまとめ、この地域の様相の一端を導きだそうとした。方台部上に設けられる土壙数は基本的に1基で、2・3基の複数埋葬もIV期以降に増加する傾向がある。また5基以上の埋葬施設をもつ「多数埋葬」はIV期以降に現れるが、1~3基のものとの格差は大きい。またIV期には方台部への盛土や、土器棺の方台部内への設置など大きな変化がある。また土壙には大きさにいくつかのランクがあり、幼児を含む男女が被葬者であると考えられる。さらに方形周溝墓群に匹敵するような土坑墓群の存在は今のところ想定しにくく、方形周溝墓周辺に散在すると考えられる。