氷室研究の現状と課題
中山 晋
( NAKAYAMA Susumu )
従前の古代日本の氷室の研究は、あくまで文献史学が中心で考古学からのアプローチがなかったため、大きな進展は見られなかったが、1996年の愚説提唱を嘱矢とし、考古学の立場から愚説に肯定或いは否定的な考え方が幾っか示され、新たな局面を迎えつつある。そこで、古代日本の氷室の研究を今後大きく進展させるため、否定的な考えに対しては問題点を抽出して検討し、山積する課題の中からは、特に気候・祭祀・廃絶の問題について触れた。