大浪から国芳へー美術にみる蘭書受容のかたちー
From Tairō to KuniyoshiーReceptlon of imported Dutch literature on their artsー
勝盛 典子
( Katsumori Noriko )
江戸時代の洋風画家・石川大浪(1762-1817)は、水墨を用いた洋風表現について一定の評価を得ているものの、蘭学者の要請に応えて蘭書の挿絵などを模写する挿絵画家的な存在として概ね認識されてきた。しかし、大浪と蘭書の関係を丹念に検証すると、単に発注者とイラストレーターという関係では捉えられない興味深い事例にあたる。 本稿では、大浪の蘭書への関り方や蘭書をめぐる交遊関係などを視野にいれながら、大浪の画業について検討を加えている。また、大浪旧蔵蘭書が浮世絵師・歌川国芳(1797-1861)の作品に深く影響を及ぼしたことを明らかにし、石川大浪と歌川国芳という、個性、身分、活躍時期が異なる二人の画家が蘭書をどのように受容したかを比較検証することによって、江戸時代における蘭学と美術のかかわりの一端を明らかにしている。
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2021-11-15
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