雌鹿塚式の壺の型式変化について
岩本 貴
静岡県東部の弥生後期の土器様式である雌鹿塚式(渡井 1997)について、壺形土器の法量比較、文様帯、施文方法等の諸属性の統計処理を通じて第Ⅰ~Ⅲ群に大別し型式変化のあり方を検討した。また、雌鹿塚式に認められる菊川式的要素を抽出し、菊川式との並行関係について検討した。検討の結果、壺形土器は、長頸長胴のものが主体となり、頸部に羽状縄文を多用する第Ⅰ群、長頸形態をとどめつつ短胴化が進行した雌鹿塚式特有の壺形態を形成し、無文化がやや進んだ第Ⅱ群、短頸化、短胴化が進み無文化や櫛刺突文の卓越から、菊川式的要素がより強まる第Ⅲ群の順に変化することを再確認した。