縄文時代後晩期の石鏃について 部分磨製石鏃を中心に
川添 和暁
縄文時代の石鏃は、剥離調整による打製石鏃が主体である。しかし、剥離調整を基調としながらも、一部に研磨調整が施されている石鏃(部分磨製石鏃)が存在することは、これまで先学により指摘されている。縄文時代早期の事例が早くから注目される一方で、後に後・晩期の事例についても知られるようになった。ここでは縄文時代中期末以降の北関東から関西地域の資料群を中心に検討を加えた。法量・研磨の志向・使用石材などの諸検討の結果、「部分磨製石鏃」は一様ではなく、7つの類型に分類され、各類型でその歴史的位置づけが必要であるとの認識に至った。