多功南原遺跡出土の文字資料について
山口 耕一
( YAMAGUCHI Koichi )
平成元年度から平成6年度の約5年間にわたる多功南原遺跡の調査で、220軒の竪穴住居跡、約120棟の掘立柱建物跡、55基の井戸跡が確認された。特に調査区の南西部の「コ」の字形に配置された9棟の大型掘立柱建物群とその中央部に位置する壁柱穴を持つ1辺8m規模の大型竪穴住居跡(S1-68) の遺構群としての性格については、「実力的郷長の居宅」、「富豪層の居宅」、「郡司相当層の居宅」説など幾つかの説が類推されている。報告書では担当者の力量の不足から遺跡の性格を絞り込むことはかなわなかった。
この遺構群と他の地区の遺構、遺物等比較を行うことにより差異を明らかにすることは可能であるが、これらの考古学的な手法のみではこの大型遺構群の性格を明確にすることは不可能である。そこで、遺物の中でも文字の情報に視点をあてて当遺跡の性格について考えてみる。
この遺構群と他の地区の遺構、遺物等比較を行うことにより差異を明らかにすることは可能であるが、これらの考古学的な手法のみではこの大型遺構群の性格を明確にすることは不可能である。そこで、遺物の中でも文字の情報に視点をあてて当遺跡の性格について考えてみる。