寺野東遺跡における大洞C2式期土器の文様形態
猪瀬 美奈子
( INOSE Minako )
本県においては晩期中葉以降、大洞系土器群の進出が顕著に確認され、寺野東遺跡においても例外ではない。本稿では寺野東遺跡より出土した特徴的な「横位並列文様」土器群に注目し、「大洞C2式」の分析を通じて文様構造の解明を試みた。まず「大洞C2式Jを文様及び文様配置から大きく2つの分類群で捉え、その中で大洞式雲形文の、本来的な施文原則とは相違する文様配置(線対称配置)がなされる土器群を明らかにし、更にここから文様の単位文的並列配置構成が導かれることを示した。「横位並列文様」土器群は「大洞C2式」の施文域に相当する部位に、単位文的並列配置構成により単沈線描出の文様を配するもので、「大洞C2式」・安行3d式・前浦式の3型式聞の関係性を示唆するものとして注目される。また安行3d式・前浦式の中にも同様の構成を持つ土器群が存在することは注意されよう。