関東地方東北部における縄文時代の大形貯蔵穴出現期の様相(上)
塚本 師也
( TSUKAMOTO Moroya )
東北地方から関東地方東部では、主に縄文時代中期の集落遺跡から、貯蔵穴と考えられる大形の袋状土坑が多数発見される。この袋状土坑が群在化する現象を、食糧の貯蔵行為そのものにとどまらず、集中的な食糧管理に結びつける解釈がある。しかし、関東地方東北部の出現期(阿玉台式前半期)の大形袋状土坑のあり方を検討すると、当初から集中的な食糧管理が行われたとは考えにくい。本稿では、該地域の大形袋状土坑出現期の食糧貯蔵の実態に迫ることを目的とする。そこで、参考としてそれ以前の段階(前期末葉から中期初頭)に当たる鹿島脇遺跡と鶴田中原遺跡の貯蔵穴について概観し、更に出現期に当たる品川台遺跡での大形袋状土坑のあり方を検討する。
また、土坑の調査から食糧の管理形態を復元するためには、貯蔵穴の認定、時期の決定、集落内で同時に機能した遺構の認定、土坑の耐久年数と貯蔵穴数の関係の把握、貯蔵方法や貯蔵量の想定、貯蔵穴以外の貯蔵方法の把握などを、考慮に入れなければならないことを指摘する。
また、土坑の調査から食糧の管理形態を復元するためには、貯蔵穴の認定、時期の決定、集落内で同時に機能した遺構の認定、土坑の耐久年数と貯蔵穴数の関係の把握、貯蔵方法や貯蔵量の想定、貯蔵穴以外の貯蔵方法の把握などを、考慮に入れなければならないことを指摘する。