弥生鉄器の諸問題
村上 恭通
( MURAKAMI Yasuyuki )
二子塚遺跡における弥生時代後期の鉄製品は、素環頭短剣、小型短剣、鉄鏃といった武器、大小の袋状斧、鉇、刀子、棒状鉄器といった工具、鋤先、摘鎌、曲刃鎌といった農具からなる。利器は鉄器化し、すべて鍛造品で在地生産品と考えられ、中国東北地方や朝鮮半島製品は含まれていない。弥生時代中期までは舶載鉄器が散見されるが、後期になると舶載鉄器がなくなる点は熊本 県域の特徴である。鉄素材を入手し、鉄器を自給的に生産するシステムが確立していたのであろう。