古代国家による辺境支配と鞠智城の機能の変質の相関
柿沼 亮介
西海道の辺境島嶼を中心に辺境支配の変遷をみた。その知見をもとにして辺境支配と肥後との関係について検討し、そこから鞠智城の機能の変質を相関させて考えた。肥後は所在し、辺境支配を支える拠点であるとともに、辺境の勢力と結びつく在地勢力の拠点ともなる地域であった。辺境の後背地に所在した鞠智城のあり方は、古代国家による辺境支配の変遷と概ね重なると考えられる。