鹿乗川流域遺跡群における「方形周溝墓」の再検討
早野 浩二
本論では不安定な検出事例が多い鹿乗川流域遺跡群の「方形周溝墓」を再検討し、遺跡群における方形周溝墓の築造状況、墓域の構成を改めて整理した。その結果、弥生時代中期後葉には開始された方形周溝墓の築造は、弥生時代後期に継続するものの、弥生時代終末期には築造数が減少し、古墳時代前期初頭以降、築造が著しく低調化することを明らかにした。また、墓域は各遺跡群中の各居住域に付随するというより、遺跡群の「北群」と「南群」にそれぞれ偏在することを示した。それらを踏まえ、遺跡群の動態における精確な把握、周辺地域との比較検討を今後の指針とした。