小規模総柱建物の存在形態
丸杉 俊一郎
総柱建物は郡家での穀稲を永年保管する建築様式として採用されるため、正倉における総柱建物の各属性を中心として従来より機能的位置付けがされてきた。しかし、官衙関連遺跡及び集落においても総柱建物は一般的にみられ、全国において正倉遺構は郡家での諸施設の検出例に比較すれば少なく、むしろ郡家では正倉よりも平面積30㎡以下の小規模な総柱建物が多く確認できる。
本稿では遠江・駿河・伊豆国における総柱建物の諸属性を検討し、建物の存在形態・機能的特質の整理を行った。その結果、掘方等の建築技術や建物配置の計画性・建替時の位置の踏襲などから、小規模な総柱建物は官衙の職務の遂行に不可欠な建物であると評価した。さらに、その存在形態からは、各施設における職務を補完するために造営された建物であると指摘した。
本稿では遠江・駿河・伊豆国における総柱建物の諸属性を検討し、建物の存在形態・機能的特質の整理を行った。その結果、掘方等の建築技術や建物配置の計画性・建替時の位置の踏襲などから、小規模な総柱建物は官衙の職務の遂行に不可欠な建物であると評価した。さらに、その存在形態からは、各施設における職務を補完するために造営された建物であると指摘した。