石切平2号墳の古墳儀礼と比奈古墳群の地域集団
FUJIMURA Sho
( 藤村 翔 )
本稿ではまず石切平2号墳の古墳儀礼について、 石室構築儀礼、第1次床面上での初葬、同追葬、第2次床面上での追葬と墓前儀礼という大きく4段階に復元し、それらが7世紀中葉から後葉(飛鳥Ⅱ~Ⅲ/遠江Ⅳ期前葉~後葉)にかけて実施されたと考えた。墓前儀礼については、駿河東部地域のほぼ同時期の上位集団の古墳間で共有された墓前域における饗宴儀礼に伴う痕跡と評価し、当地域における無袖形石室の普及とともに、同様の墳丘周辺の儀礼が展開した点を指摘した。そして石切平2号墳の墳丘や石室規模などが、統計上は駿河東部地域の古墳の中では中型でも上位クラスであると評価し、比奈古墳群内の大坂上古墳や赫夜姫古墳といった大型石室に葬られた指導者層を、軍事面や各種儀礼、手工業分野等で支えた人物を被葬者として想定した。さらに、墓域や居住域において集団内部の序列化・組織化が進行した背景には、浮島沼沿岸におけるミヤケ設置と王領化が影響を及ぼしたことを指摘した。
藤村翔 2025「石切平2号墳の古墳儀礼と比奈古墳群の地域集団」 『比奈 石切平第2号墳』富士市埋蔵文化財調査報告
https://sitereports.nabunken.go.jp/en/article/126954
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