宮崎県内で検出された鍛冶関連遺構・遺物について(2) 〜祭祀及びその他の出土例・2020年度研究紀要補遺
竹田 享志
筆者は、宮崎県内で出土した鍛冶関連遺物及び遺構の集成を試み、当センターの研究紀要第5集(県埋文セ2020)にて発表した(以下「紀要5集」と略す)。集成の結果、県内の鍛冶関連遺物及び遺構は、鉄生産に関わるものが大部分を占めることが把握できた。一方で、調査区内において鍛冶関連遺構が検出されていないにも関わらず、鉄滓や鞴の羽口等、鍛冶関連遺物のみが出土する遺跡も多く、遺跡周辺での鍛冶活動を想起させる事例も多く見られた。時代別では、古墳時代が全体の80%を占める。このころの鍛冶活動はもっぱら竪穴住居内で行われ、専用の鍛冶工房跡や鍛冶炉等の専用の施設の割合は、時代が下るにつれて増加する傾向にある。鍛冶活動の種類については小鍛冶が大半を占めるが、精錬滓が出土している例(都城市平峰遺跡・梅北針谷遺跡等)もある。
前回の集成では遺漏分があったことから、今回その補遺を行うべく再度集成を試みた。その中で、鉄生産に伴わない鍛冶関連遺物の出土例を確認した。紀要5集で掲載した上多々良遺跡(延岡市)における土師器埋納遺構に鉄滓が共伴した例など3遺跡の出土例を紹介する。
前回の集成では遺漏分があったことから、今回その補遺を行うべく再度集成を試みた。その中で、鉄生産に伴わない鍛冶関連遺物の出土例を確認した。紀要5集で掲載した上多々良遺跡(延岡市)における土師器埋納遺構に鉄滓が共伴した例など3遺跡の出土例を紹介する。