方形周溝墓の時期決定をめぐる二、三の問題— 伊勢湾岸域を中心として —
石黒 立人
伊勢湾岸域の方形周溝墓は弥生前期に出現するとこれまで考えられてきた。しかし、山中遺跡他の報告を検討すると積極的な根拠は見出せず、むしろ時期判定が困難である事が明らかになった。また、それに関連して他遺跡の事例についても調査方法や報告にまつわる恣意的な判断が浮き彫りになった。調査事実の客観性を如何に保つのか、あるいは無理な判断を如何に避けるのか、それが大きく問われることを指摘した。