栃木県下野市御鷲山古墳の小札甲
Lamellar Armor of the Late Kohun Period (7th Century) Excavated from Owashiyama Tumulus in Shimotsuke-City, Tochigi Prefecture, Japan.
内山 敏行
( UCHIYAMA Toshiyuki )
墳長85mの前方後円墳から出土した古墳時代後期末の鉄製小札を再報告・検討する。縅孔1列偏円頭形の附属具小札には肩甲(袖甲)の部品があり、膝甲なども含む可能性がある。縅孔2列円頭形小札はおそらく甲の本体小札で、縅孔4個の小札は草摺部、縅孔5個の小札は胴部の可能性が高い。「富木車塚型」または「金鈴塚型」の小札甲か、その関連型式と考える。倭系の2列円頭形小札甲に、外来系の1列偏円頭形小札附属具を組み合わせる事例と推定した。外来系附属具を倭で製作した工人、あるいは舶載品の存在、使用者と朝鮮半島社会との関わりなどを考えてゆく必要がある。