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青森県域における玉髄等の石器石材の利用について
A study about the use of stone materials such as chalcedony in Aomori prefecture.

齋藤 岳 ( SAITO Takashi )
縄文時代後期前葉の十腰内Ⅰ式期では、六ヶ所村上尾駮(2)遺跡や野辺地町有戸鳥井平(4)遺跡のように、遺跡近隣の場所から玉髄及び玉髄質の珪質頁岩の小礫を採取して両極打法で剥片を採取した遺跡がある。同時期の舘遺跡では段丘礫に玉髄が含まれていた。筆者は段丘を開析する近隣の沢や馬淵川で小礫を採取したと考えたが、調和的である。縄文時代後期前葉の時代
性が感じられる。
 さて、石器の加熱処理の可能性について言及したものは、これまでにも散見されていた。例えば新潟県上越市の小型石錐製作遺跡では、玉髄製石器に「擦りガラス状をなす剥離面とパティナの形成が微弱な剥離面」が認められることから、硬度7の硬質な玉髄の加工に加熱処理が利用された可能性が指摘された(加藤2006)。新潟県内の玉髄製石器も観察された(早瀬2007)、石川県横山海岸の玉髄質泥岩については非常に丁寧な報告がなされ(高田ほか2008)、加熱処理実験が行われた(大屋ほか2009)。
また、加熱処理技術を記載した本も翻訳されるようになった(アレ・ツィルク2020)。
 御堂島は、滝沢市燧堀山から採取した玉髄で加熱処理実験を行うとともに、燧堀山の近接遺跡を対象として石器を観察することから研究を開始した。舘遺跡の位置する三戸郡は筆者の生活領域から遠い。①多くの人に知られている七里長浜産の玉髄を対象として加熱処理実験を行うこと、②そして亀ヶ岡遺跡等津軽半島西部の出土品と対比する方が現実的である。青森市米山(2)遺跡は筆者の生活領域に近く、米山(2)遺跡で使用された玉髄の産地が発見できれば、さらに効率的な調査が可能となる。
 水晶は、階上岳周辺の遺跡では原石、石鏃、石匙が出土している。今後、近隣の遺跡で発掘調査が行われれば、水晶製剥片や石核が多数出土する製作遺跡も確認できると考える。
 発掘調査報告書においては、総括で「調査の成果を当該遺跡が所在する地域の歴史の中に位置づける」(文化庁文化財保護部記念物課監修2010)ことが求められている。さらに遺跡を出発点とする「地域研究」が求められるようになった。加熱処理技術を含めて石器石材の調査は、地域研究の魅力的なテーマとなり得るものである。
 これらについて一つの形にまとめていくためには、数年単位の時間が必要である。加熱処理実験や石器製作実験を含めた調査の客観性を保つためにも、筆者と一緒に調査もしくは継承できる方から御連絡をいただければ幸いである。
NAID :
都道府県 : 青森県
時代 縄文
文化財種別 考古資料
史跡・遺跡種別
遺物(材質分類) 石器
学問種別 考古学
テーマ 素材分析
他の電子リソース :
総覧登録日 : 2021-05-19
wikipedia 出典テンプレート : {{Citation ... 開く
wikipedia 出典テンプレート : {{Citation|first=岳|last=齋藤|contribution=青森県域における玉髄等の石器石材の利用について|title=研究紀要|date=2021-03-10|url=https://sitereports.nabunken.go.jp/91350|ncid=AA11188116|doi=10.24484/sitereports.91350|volume=26}} 閉じる
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この論文は下の刊行物の 7 - 20 ページ に掲載されています。

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