愛鷹・箱根山麓における後期旧石器時代後半期前葉の石器群 ―編年及び年代の整理―
中村 雄紀
愛鷹・箱根山麓における後期旧石器時代後半期前葉(AT降灰期以降、砂川期以前、愛鷹・箱根第3期に相当)の石器群の変遷を、近年増加が著しい新出資料を組み込んで整理した。当該期の石器群を大別7群に分け、その上で南関東の編年、及び年代測定データとの対応関係を考察した。第Ⅰ黒色帯から第Ⅰスコリア層までが南関東Ⅴ層下部段階からⅤ層上部段階に相当し、休場層直下黒色帯から休場層下位がⅣ層下部段階からⅣ層中部段階に相当するという対応関係が認められ、前者の年代が約30000-28000 cal BPとなる一方、砂川期の年代が23000 cal BP頃で与えられるところから、Ⅳ層下部段階からⅣ層中部段階並行期が相対的に長期間に及んでいた可能性を指摘した。