栃木県北部における異系統土器の共存と異系統文様の同一個体共存-縄文時代中期前・中葉の事例-
Association of different series potteries, co-existance of different series pattern in potteries: Cases of middle Jomon period Atamadai and Daigi 7b-8a types in the northern part of Tochigi prefecture.
塚本 師也
( Tsukamoto Moroya )
栃木県北部の縄文時代中期前・中葉には阿玉台式土器と大木式系土器が共存する。阿玉台式の細別を基準に土器組成を概観すると、阿玉台Ia~Ib式期は阿玉台式が主体を占め、阿玉台II式期で両者が拮抗し、阿玉台III式期以降大木式が優勢となる。大木式系土器の各系統別にみると、阿玉台III式古段階に七郎内II群土器が急増する。同時に槻沢型、湯坂型が出現する。阿玉台III式新段階には槻沢型、湯坂型が増え、火炎系土器が出現し、阿玉台IV式期もこの状態が続く。七郎内II群土器は阿玉台IV式期まで存続する。阿玉台III式期に異系統文様の同一個体共存例がみられる(第25図)が、全体の1割以下である。そして、阿玉台式、大木式系各系統ともに、それぞれの標準に近い土器が大半を占める(第1~10図)。