尾張三河国境地帯の古代窯業関連集落
永井 邦仁
古代の令制尾張国と三河国は境川を国境としていたが、その両岸丘陵地帯では8 世紀後半から10 世紀前半にかけて須恵器・灰釉陶器窯が多数操業する。そして同地域にある豊明市・薬師ヶ根遺跡は、背後にある丘陵の窯に関わる経営拠点の一つと評価される。本稿では、境川流域南部における窯業遺跡の動態にこれら拠点の形成が深く関わっていることを指摘した。