縄文時代後晩期の土製垂飾類(玉類)について 東海地域の事例から
川添 和暁
本稿は、研究上、主体的に取り上げられる機会の少ない、土製垂飾類についての集成と若干の考察を行うものである。土製垂飾類を1 類から7 類に大別し、1 類は獣牙と、2 類は植物種実との関連性を指摘した。一方、4 類〜7 類は有孔球状土製品や岩偶岩版類・土版との関連も考えられ、性格が異なるようである。これら土製垂飾類は、土壌など保存条件に制約を受けることが少ないにも関わらず、地域的な分布に偏差が認められる。このことから、土製は骨角製や石製に対する単なる代用品ではなく、土製垂飾類が主体的に使用される場合があったのではないかと推測した。