中世下津宿を考える(その2) 自然科学的古環境解析とその評価
奥野 絵美
蔭山 誠一
平成19 年度と平成20 年度に実施された長野北浦遺跡における発掘調査によりみつかった中世の区画溝や井戸の埋土中より抽出された昆虫化石と植物種実化石を分析し、古環境を考えた。その結果鎌倉時代を中心とする時期(12 世紀後半〜14 世紀)の長野北浦遺跡における調査地点付近の古環境は人間が営む生産域に囲まれた中で、やや人間の営みに伴う人為的廃棄が少数及ぶ居住地に近く、かつ人間による手入れが少ない樹々が生育できる場所と想定した。また平成11 年度に報告された下津北山遺跡の自然化学分析の再検討を行い、中世下津宿の古環境の再評価を行った。