「棒状鹿角製品」小考 朝日遺跡出土新資料の位置付け
川添 和暁
縄文時代中期から弥生時代の長期にわたって見られる精神文化の遺物として、「有鉤短剣」、「棒状加工品・叉状加工品・長叉状加工品」などと呼ばれている遺物が知られている。これらを体系づけた研究は、すでに春成秀爾によってなされてる(春成1985)。その中でも今回は春成の「棒状短剣」、金子浩昌の「棒状加工品」と呼称しているもので鹿角製のものに関して特に「棒状鹿角製品」として取り上げる。中心とするのは棒状鹿角製品が特殊な発展を遂げた、縄文時代晩期から弥生時代中期にかけての資料である。朝日遺跡99年度調査では、弥生時代貝田町式とされる貝層から、変形工字文を持つ当該資料の出土を見た。この遺物の出土の意味を探っていきたい。