亜欧堂田善鐫「コロンブス謁見図」をめぐって
Columbus,having an audience of Queen of Spain by Aodo Denzen
勝盛 典子
( Katsumori Noriko )
亜欧堂田善(1748~1822)は、白河藩主松平定信に見出され、その命により銅版画技法を習得した。優れた技術に裏打ちされ独自の情趣に富む彼の銅版作品は、高い評価を得ている。筆者は、2004年に『世界四大洲新地図帳』とワインマン『顕花植物図譜』を例に、田善の蘭書受容の実態とその意義について考察した(1)が、引き続き、原典が未解明である「マリー・ルイーズ」「ネーデルランドの独立」「ピョートル大帝」「コロンブス謁見図」などについて、それぞれの画題選択の理由や意義を検討し、それらの典拠の探索を行ってきた。 田善は白河藩の御用絵師であり、「新訂万国全図」の製作に向けて質量ともに高いレベルで地図情報に接していたことが予測されたため、地図帳および地理情報の周辺資料を中心に調査をすすめたところ、商館長イザーク・ティチングが福知山藩主・朽木昌綱に贈り、のち前田家の所蔵に帰した『新世界地図帳(Atlas Nouveau)』(石川県立図書館蔵)の銅版図の一部が「コロンブス謁見図」と命名される田善の銅版作品の典拠であることが判明した。 本稿では、『新世界地図帳』を所蔵していた前田家(加賀藩)と田善の関係に注目しながら、『新世界地図帳』と田善鐫「コロンブス謁見図」について詳細な検討を加え、田善をめぐる蘭書事情を再考する。
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2021-11-16
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