語りかける図像 太山寺蔵《絹本着色愛染曼荼羅》をめぐって
A message of icon -On the Aizen Mandala,colour on silk owned by Taisan-ji, temple,Kobeー
川野 憲一
( Kawano Norikazu )
太山寺蔵絹本著色愛染曼荼羅は、鎌倉時代前半の制作と考えられる鮮やかな色彩に彩られた絵画である。重要文化財に指定され、その存在は早くから知られていたが、その特異な図様から典拠については不明とされてきた。本稿では、特異さのみが強調されてきた感のあるこの画像を図像学的に再検討し、それが台密・谷流、長宴周辺で生み出されたと考えられる『仏母愛染最勝真言法』を典拠とし、基本的に山門系の図像によりながらも独自の改変も認められることを指摘した。また、さらに考察をすすめて、その独自な図像による絵画制作の背景に13世紀前半、地方における一大寺社勢力として独自の道を模索し始めた太山寺僧侶の姿を想定した。
川野憲一 2001「語りかける図像 太山寺蔵《絹本着色愛染曼荼羅》をめぐって」 『神戸市立博物館研究紀要』
https://sitereports.nabunken.go.jp/ja/article/19891
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