『岡山藩家老日置忠自筆御用勤書上』と神戸事件
Introduction of report on official jobs by chief retainers of Okayama feudal lord from 1863 to 1870
髙久 智広
( Takaku Tomohiro )
この資料は岡山藩家老日置忠尚が文久3(1863)年から明治3(1870)年までの御用勤を自ら記録したもの。本稿ではこれを翻刻し、幕末維新期の京都政局における岡山藩家老の動向について若干の考察を試みた。本資料からは禁門の変直前に藩主池田茂政より国事周旋の内命を受けた忠尚が、京都において西国諸藩士と積極的に関わりあい、孝明天皇の死去後は藩論を勤皇倒幕に強力に推し進めていく様子が読み取れる。さらに忠尚は、維新政権が開国和親に外交方針を転換する画期となる「神戸事件」に遭遇した岡山藩隊の指揮官としても知られるが、この事件が列強諸国と維新政権、岡山藩との間で処理されていく過程も明らかとなる。
髙久智広 2000「『岡山藩家老日置忠自筆御用勤書上』と神戸事件」 『神戸市立博物館研究紀要』
https://sitereports.nabunken.go.jp/ja/article/19889