五輪塔形曳覆曼荼羅について ー中世版木資料からの考察を中心にー
A Study on Shround(Hikiooi-mandara)with a type of Stupa-Shaped Gorin-to ー Centering on the research of ‟Shround” made of woodcut materiales in the Middle Agesー
問屋 真一
( Toiya Shinichi )
曳覆曼荼羅とは、葬送の際、亡くなった人の身体の上に曳き、あるいは覆い、そこに記された真言などの効力で亡き人の滅罪を約束して成仏を果たさせるもので、本来伝世しないものである。本稿では各地に残る曳覆曼荼羅を刻む(多くの場合、胎蔵界種字曼荼羅中台八葉院形・幡形・墓所点の最略も刻む)版木を題材に、「亡者曳覆曼荼羅」書様との異同、版木の比較検討から、室町時代の類型を想定し、中世における展開を密教化した阿弥陀信仰や五輪五体思想と関係づけ、また滅罪真言の追加、摺物化による民衆への普及について考察した。また江戸時代の版木を紹介し、室町時代以降の展開について検討している。
問屋真一 1991「五輪塔形曳覆曼荼羅について ー中世版木資料からの考察を中心にー」 『神戸市立博物館研究紀要』
https://sitereports.nabunken.go.jp/ja/article/19864