非破壊化学分析法による青森県地域の縄文石器石材の化学分析
Non-invasive chemical investigation of stone artifacts from Jomon sites in Aomori area, northern Japan (2)
飯塚 義之
( IIZUKA Yoshiyuki )
杉野森 淳子
( SUGINOMORI Junko )
秦 光次郎
( HATA Kojiro )
青森県所蔵の縄文時代遺跡から出土した磨製石器、石製装身具、原石について、ポータブル蛍光X線分析装置(p-XRF)を用いた「その場」非破壊化学分析を試みた。分析の結果、用いられていた石材には、これまで知られていたヒスイ岩以外に、ネフライト製の石製品を確認することができた。肉眼鑑定の難しさから、報告書に記載されている石材名は時に誤りがあることがあり、ヒスイ岩、ネフライト、蛇紋岩、滑石、緑泥石、葉蝋石あるいは石英など装身具に用いられていた単鉱岩の再確認は今後とも必要と考える。特に近年、再確認されているネフライト製の石製品の存在は、縄文時代の少なくとも東北地方では普遍的な存在といえるようになってきており、またその出現時期はヒスイ岩より早い。ネフライト製石器の分布範囲、登場時期やヒスイ岩との関連性、原岩産地の推定など今後も地理的、時代的に幅広く調査を続けることが重要である。