古代山城の門 -九州を中心に-
吉田 東明
わが国の古代山城の多くは土塁によって城壁が形成される。土塁のみで構築されるのではなく、多くの場合、石塁が併用される。石塁は城壁が谷部を横断する際に構築される傾向にある。古代官衙の門、とりわけ正門は、官衙を象徴する構築物として荘厳さが重視される。他方、古代山城の門は防御的側面を重視して構築する必要がある。そのため官衙の門と違って間口が狭く、堅牢に構築される傾向にある。