二子塚遺跡出土鉄器及び鍛冶関連遺物の金属学的調査
大澤 正己
( OHSAWA Masami )
弥生時代の鍛冶作業は、鍛冶原料鉄の存在、その形状、その材質など、不鮮明な点が多い。二子塚遺跡において不明鉄器と称する鉄板片は板状素材の半製品の可能性が指摘できた。形状は4cm幅で厚み2mmを計り長さは幅の 3 倍以上が想定され、材質は極低炭素鋼を充当し薄板成形後に焼きならしを施している。鉄滓4点は、鍛錬鍛冶に関する作業で排出された滓に分類された。微細な粒状滓と鍛造剥片が付着した鉄滓は、鍛冶作業での沸し、素延べ・火造りの鍛打を実証する。二子塚遺跡の鍛冶は、半製品の鏨切り主体の原始鍛冶と、一部鉄滓と微細遺物を発生させるやや進展した鍛冶があったと推定される。