中世初期における経塚出土短刀の分類と変遷 -関東地方とその周辺の資料を対象にして-
大竹 弘高
( OOTAKE Hirotaka )
これまであまり研究されてこなかった中世の短刀に関して、関東地方および周辺諸県で見つかっている経塚の資料を主に扱い、分類と編年を行うものである。まず、分類に関しては、長さ、鋒の形状、反りの有無で大分類し、区の形状、棟の形状によって小分類を行った。そして、それぞれの系譜を組立て、各遺跡の年代観を元にそれぞれの分類の年代幅を考察した。その結果、12世紀前半から13世紀初頭の時期の中で、12世紀後半に撫区から角区のものへ、また刀身に反りの加わるものが出現すること、12世紀末から13世紀初頭にかけて平棟から庵棟、丸棟のものへと変化することが想定できた。最後に関東地方および周辺諸県以外の経塚出土資料の検討による地域差の問題、設定した分類の祖型と後続形態の問題などを挙げ、今後の課題とした。