足利市神畑遺跡出土の石剣について
芹澤 清八
( SERIZAWA Seihachi )
後藤 信祐
( GOTO Shinsuke )
平成23年度刊行の発掘調査報告書に掲載できなかった神畑遺跡の緑泥片岩製の石剣を紹介し、栃木県内の緑泥片岩製の石棒・石剣を概観した。神畑遺跡の石剣は晩期前葉の竪穴住居跡から出土しており、表裏に片理面、剥離面を大きく残す短冊形の完形品で、晩期前半に産出地である埼玉県北部を中心に分布する粗製石剣の外縁の資料と考えられる。
また、緑泥片岩製の大形石棒は、中期後半から後期前半に県内各地で出土しており、中期後半から後期初頭には石剣状の石棒、後期前葉には無頭の小形石棒が併存している。晩期前半の緑泥片岩製の石剣は精製・粗製の二者があり、精製石剣は数が少ないが県北まで分布するものの、粗製石剣は県南までである。そして晩期中葉には栃木県東部から茨城県北部の粘板岩を素材とした石剣に移行する。
また、緑泥片岩製の大形石棒は、中期後半から後期前半に県内各地で出土しており、中期後半から後期初頭には石剣状の石棒、後期前葉には無頭の小形石棒が併存している。晩期前半の緑泥片岩製の石剣は精製・粗製の二者があり、精製石剣は数が少ないが県北まで分布するものの、粗製石剣は県南までである。そして晩期中葉には栃木県東部から茨城県北部の粘板岩を素材とした石剣に移行する。