広島城跡出土の土師質土器皿について-16世紀から17世紀初頭を中心として-
重森 正樹
( Shigemori Masaki )
16世紀から17世紀初頭にかけての広島城跡出土の土師質土器皿の分類を行った。当該遺物の出土量が少ないため、形態変遷を考察できたのはf類、g類のみとなった。次に毛利氏の本拠地であった吉田郡山を代表する郡山大通院谷遺跡出土の土師質土器と比較を行い、製作技法に継続性が見られるか確認を行った。結果として郡山大通院谷遺跡の分類I類、R類Ⅲ、N類、Q類には継続性が見られた。しかし、逆に吉田郡山では見られない製作技法(外底部に板目状の痕跡を残すものや静止糸切り痕を残すもの)が新たに使われていることも見て取れる。