火国の領域設定と鞠智城
小嶋 篤
日本列島に見られる古代山城について戦術的運用と戦略的運用の特徴を別個に整理した上で、火国の領域設定と筑紫国・火国の軍事的動員の歴史から、築造期における鞠智城の役割を追究した。築造期における鞠智城の役割と想定される後方支援機能は、白村江の戦い後に場当たり的に設定されたものではなく、歴史的に形づくられた戦時侵攻体制に立脚したものと結論できる。