遠江の無袖横穴式石室と埋葬に関する検討
田村 隆太郎
筆者は前号(田村2016b)において、駿河東部の6世紀代の横穴式石室を対象として、床面や副葬品等の出土状況を分析し、石室内における埋葬等の利用状況について検討した。駿河東部の横穴式石室は無袖の形態に限られるが、間仕切石や礫敷きの違いによって奥側と前側を区分している場合が多く認められ、利用状況も異なることから、埋葬上の機能と関連した石室空間の区分が広く普及していた可能性を考えた。また、2体が隣接して埋葬されている場合があること、頭位を前方に向ける場合があることなども確認した。
本稿では、遠江の6世紀代の無袖の横穴式石室を対象として、同様の検討を行った。残存の良い資料が少なく課題も多く残したが、埋葬主体や副葬品の配置に駿河東部と共通した状況が指摘できる一方、空間区分の表示が不明瞭であり、土器群の副葬に影響している可能性などを示すことができた。
本稿では、遠江の6世紀代の無袖の横穴式石室を対象として、同様の検討を行った。残存の良い資料が少なく課題も多く残したが、埋葬主体や副葬品の配置に駿河東部と共通した状況が指摘できる一方、空間区分の表示が不明瞭であり、土器群の副葬に影響している可能性などを示すことができた。