方保田東原遺跡出土鉄器〈穂摘具〉の金属学的調査

　石庖丁形鉄器の原料は、高速定性分析の結果、微量チタン（Ti）と燐（P)の存在から磁鉄鉱の可能性が強い。また、特性X線像により、炭素（C)含有量は極く微量と判定されることから、鍛造品の可能性が強い。さらにCMA定量分析結果では鋳造品の可能性も考えられそうであるが、測定値に変動が激しい。特性X線像から考えて鋳造品は否定的である。
　手鎌の原料は、同様の分析で褐鉄鉱か菱鉱系を想定させる鉱石系素材での鍛造鉄器と考えられる。