幅・津留遺跡の玉類とその製作技術
OHTUBO Yukiko
( 大坪 志子 )
幅・津留遺跡の人々は、碧玉製やグリーンタフ製の管玉製品を他地域から入手する一方で、滑石を中心に多様な石材を調達し、自身も玉の製作をおこなった。本遺跡の玉の製作をもっとも特徴づけるのは、その製作において、成形・整形に金属製の工具を使用するという、他ではみられない技術を用いたことである。鉄製品を石の加工に実際に用いることができた背景には、鉄製品の卓越した供給力があった。製作した玉は基本的には遺跡内で消費されたと推定した。