菊川市赤土政所遺跡出土の土鈴について
中川 律子
静岡県中部、菊川市南部中央の旧小笠町赤土地区に所在する赤土政所遺跡は、丹野川によって形成された沖積平野に位置し、川の南側一帯に広がっている。遺跡周辺には弥生時代中期の標識遺跡でもある嶺田遺跡をはじめ、多くの遺跡が所在する地域でもある。遺跡では4面の遺構面が見つかっており、このうち第3面では古墳時代中期から終末期までの竪穴建物跡や溝、土坑、自然流路が見つかっている。その遺構面を覆う包含層から土製の鈴が出土した。第3面の竪穴建物跡の覆土内土器から、土鈴は5世紀代(古墳時代中期)と捉えられる。発掘調査報告書では記述しきれなかった出土位置や資料の観察により、土鈴の年代や構造等について検証する。