磐田市合代島古墳出土馬具の研究
大谷 宏治
磐田市合代島古墳から出土した静岡大学が所蔵する馬具について実測調査を行い、報告した。その後透十字文心葉形鏡板付轡を属性の特徴により、合代島古墳出土轡などのX類と、それ以外のY類に分類し、X類は6世紀前半の倭の伝統的な金銅装鏡板付轡の生産に新羅圏、大伽耶圏の馬具生産の影響が加わることで成立したことを論じた。また、X類をこれまでの研究を参考にⅢ期4段階に区分し、Ⅱ段階に銜留部覆金具及び銜と鏡板の連結方法の変化だけではなく、馬具の組合せにも変化があったことを論じた。さらに、合代島古墳から出土されたとされる三累環頭大刀が、今回報告した馬具と同一の古墳から出土したかを、他の古墳の共伴例から検討したが、透十字文心葉形鏡板付轡と三累環頭大刀の共伴事例はなく確証は得られなかったため、今後の更なる検討が必要であることを論じた。最後に出土馬具から合代島古墳は地域の最上位ではないが、有力古墳の一つであったことを明らかにした。