とちぎの「茶の湯」覚え書き-長沼城跡出土天目碗小片の検討
A short consideration about "Tea Ceremony" in Tochigi region: Shades of Tenmoku (black glazed bowl) excavated from Naganuma Castle site, Tochigi prefecture.
篠原 浩恵
( Shinohara Hiroe )
長沼城跡から出土する3片の天目碗片について、長沼氏と関わりのある宗光寺に由縁する可能性を予察する。長沼氏の歴史的背景を鑑みるならば、京屋敷からもたらされた所謂「会所・書院の茶」に関わる遺物である可能性が第一に思い浮かぶ。しかし、時期や出土状況からは、寺院の茶に組する遺物である可能性を否定しきれない。あくまで予察ではあるが、本稿が長沼氏関係文書群の再検討が進む中で、「とちぎの茶の湯」が明らかとなる糸口になることを期して記す。