国造軍と鞠智城
小嶋 篤
①新規築城型古代山城である大野城跡から出土した豊富な土器の総量分析に基づいて、第1段階古代山城の大野城が小田Ⅴ期に築城されたことを確認した。②筑紫における第1段階古代山城の築城期間(小田Ⅴ期)は、「戦時」が含まれており、国造軍駐屯期間と重なる。平時とは異なる「戦時」での軍事施設整備には、駐屯中の国造軍も動員されたと見るべきで、新規徴発の労役と組み合わせて早期の築城が図られたと考える。③国造軍【国造軍Ⅱ-2期】が百済の役における投入軍隊であり、第一段階古代山城の運用をなし得た唯一の動員体系である。城内のみでも広大な面積を有し、城外での部隊展開が必須な古代山城群を軍事的に機能させるためには、百済の役に匹敵する動員数が必要である。