宮古市田鎖車堂前遺跡における居館の構造と機能
Strunctures and Functions of th Residence which was found in Takusarikurumadoumae-site in miyako-city
福島 正和
( FUKUSHIMA Masakazu )
田鎖車堂前遺跡の堀を有する12世紀代の居館は、遺構の配置やその構造を検討した結果、堀内区、東側堀外区に区分できる。検出遺構や出土遺物等の考古学的検討を経て堀内区は日常の居住域と想定される。一方、東堀外区は東西の2つの区画に区分可能であり、東側堀外区西半の方形区画を馬事関連、東側堀外区東半を武器・武具類を含む鉄製品製作や保守管理の工房域であると推定した。また、この工房域は居館最終段階に祭祀域と姿を変える。これら居館を構成する要素とその推定される機能から、この居館の性格や成立背景を考えることができる。居館の果たした役割として、鉄製の武器・武具製作を担い、馬を飼養・管理した集団を抱えていたものと想定され、居館の主は、地域の軍事的・政治的なリーダーを想定するのが妥当である。