2014年度北見中ノ島遺跡試掘調査報告
にせんじゅうよんねんどきたみしなかのしまいせきしくつちょうさほうこく
市川 岳朗
( Ichikawa Takeo )
太田 敏量
( Oota Toshikazu )
中ノ島遺跡は1973~1976年に北見市初の大規模発掘調査に端を発し、1985年にも追加調査を行っている。それらの調査では無加川左岸の築堤建設地と宅地化とそれに伴う道路整備のため発掘調査を行っている。本試掘調査報告は1985年の調査で畑地として保存されていた遺跡包蔵地の試掘調査の結果報告である。畑地はほぼ三角形を呈しそこにトレンチを5本設定し縄文時代~続縄文時代の遺構3基と擦文時代の住居跡1基を調査した。縄文~続縄文時代の遺構は用途不明の土坑であった。擦文時代の住居跡は確認位置から1985年の調査でpit523と呼ばれていたカワシンジュガイの殻が多量に出土した住居である。結果として擦文時代の住居の窪みを利用したアイヌ文化期の竪穴上層遺構(送り場遺構)ということが判明した。2014年の試掘調査の成果としては畑地として保存されていた中ノ島遺跡の空白地の遺構確認とpit523の性格の解明にあったと言える。