奈良文化財研究所 ホーム
キーワードから探す
一覧から探す
その他
おすすめ
PDFがある書誌登録数
39940 件
( 発行機関数 742 機関 )
現在の書誌登録数
132080 件
( 前年度比 + 1109 件 )
( 発行機関数 1912 機関 )
現在の遺跡抄録件数
147026 件
( 前年度比 + 1684 件 )
現在の文化財論文件数
120080 件
( 前年度比 + 1026 件 )
現在の文化財動画件数
1259 件
( 前年度比 + 70 件 )
( 登録機関数 113 機関 )
文化財イベント件数
1148 件
( 前年度比 + 96 件 )
※過去開催分含む
デジタル技術による文化財情報の記録と利活用 > 6 号 > 文化財デジタルアーカイブ課程受講者アンケートの結果報告

文化財デジタルアーカイブ課程受講者アンケートの結果報告

三谷 直哉 ( 奈良文化財研究所 )

Mitani Naoya ( Nara National Research Institute for Cultural Properties )
三谷 直哉 2024 「文化財デジタルアーカイブ課程受講者アンケートの結果報告」 『デジタル技術による文化財情報の記録と利活用』 遺跡地図・3D・GIS・モバイルスキャン・デジタルアーカイブ・文化財防災 https://sitereports.nabunken.go.jp/online-library/report/44
目次

はじめに

奈良文化財研究所(以下、「奈文研」という)で実施した文化財デジタルアーカイブ課程の受講者を対象に、フォローアップとしてアンケート調査を行った。

アンケートの概要

1.目的

過去の研修を振り返り、業務での現状やニーズを把握するため

2.実施期間

令和5年9月12日~令和5年9月29日

3.対象者

令和元年度、令和4年度の文化財デジタルアーカイブ課程受講者 82名

4.回答方式

自由記述式 全9問

5.回答状況

回答者数:39名

回答率 :47.6%

アンケート結果

アンケート回答の文章より、単語ごとに分け、頻出語を抽出し分析を行った。

(1)研修の内容で、受講後に職場で役立った内容は?

集計結果は表1に示すとおりである。「著作権」が突出して多く、関心が高いことが分かる。次いで「権利処理」「全国遺跡報告総覧」となっている。

職場で研修内容を活用できた例として、報告書や動画の公開を実施するにあたり著作権処理を実施した、職場で作成された報告書を全国遺跡報告総覧へ公開した、という回答が複数見られた。


表1 研修の内容で、受講後に職場で役立った内容は? 頻出語



(2)受講後に具体化できた実践例は?

集計結果は表2に示すとおりである。「公開」が最も多く、「報告書」「デジタル、電子化」が続いた。各受講者の職場で作成された報告書や、博物館の所蔵品をデジタル化しインターネットで公開したという事例の紹介が多く見られた。また、全国遺跡報告総覧で報告書の公開を行ったとの回答も複数見られた。


表2 受講後に具体化できた実践例は? 頻出語


(3)受講後に閲覧したデジタルアーカイブで気になった事例やお手本にしたいなと思った事例は?

 回答結果は表3に示すとおりである。青森県の県史デジタルアーカイブ作成・公開について3件回答があり、最も多い結果となった。選んだ理由が書かれていたものは、デジタルデータ管理の仕組みや、複数のデータと連携する管理体制が整っていることが挙げられていた。


表3 受講後に閲覧したデジタルアーカイブで気になった事例やお手本にしたいなと思った事例は?


(4)研修時にはなかった内容だが今後の研修で組み込んだ方が良い・希望する内容は?

集計結果は図4に示すとおりである。「実践、成功例、事例、例」という具体例を意味する言葉が多く挙がった。次いで「デジタルアーカイブ」「連携」という言葉が続いた。

デジタル化に取り組んだ具体例から学ぶべきことがある、との意見が多く見られた。


表4 研修時にはなかった内容だが今後の研修で組み込んだ方が良い・希望する内容は?頻出語

(5)今後、『デジタル技術による文化財情報の記録と利活用』でとりあげてほしい題材や実践例は?

集計結果は表5に示す通りである。「デジタルアーカイブ、デジタルコンテンツ、デジタルデータ」が最も多く、次いで「事例、実践例、活用例、成功例」という具体例を示す言葉、「利用」が続いた。(4)と同様に具体例を知りたいという意見が多く見られた。


表5 今後、『デジタル技術による文化財情報の記録と利活用』でとりあげてほしい題材や実践例は?頻出語


(6)研究報告『デジタル技術による文化財情報の記録と利活用』にて報告してみたい?

いいえ:22件、はい:8件との回答結果となった。


表6 研究報告『デジタル技術による文化財情報の記録と利活用』にて報告してみたい?


(7)地方自治体がデジタルアーカイブの作成・運用をより進めていくため、専門研修の実施以外に奈文研に期待する役割は?

回答内容を、「情報発信」、「個別研修」、「統一規格」、「技術開発」、「他機関連携」、「プロジェクト主導」の6つに分類分けし集計した結果が表7-1である。

「情報発信」が最も多く、最新の事例や、各機関の取り組み結果を発信し共有してほしいとの意見が多く見られた。次いで「個別研修」「統一規格」が続いた。「個別研修」はそれぞれの機関に応じた研修の実施を、「統一規格」ではデジタルアーカイブの統一フォーマット作成を、求める意見が複数見られた。


表7-1 回答内容の分類分け


また、回答内容より頻出語を抜き出したものが表7-2である。「デジタルデータ、デジタルアーカイブ」「事例、実践例」「共有、紹介、情報提供」と続き、デジタル化の取り組み事例の共有を求める回答が多いことが分かる。


表7-2 地方自治体がデジタルアーカイブの作成・運用をより進めていくため、専門研修の実施以外に奈文研に期待する役割は?頻出語


(8)新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行しましたが、それと前後して

デジタル技術を利用した文化財の活用についての機運が盛り下がったと感じますか?

集計結果は表8-1に示すとおりである。「いいえ」が22件、「はい」が6件、「どちらともいえない」が4件の結果になった。「いいえ」の回答の中にも、部分的に盛り下がったと感じるとの意見が述べられていた。

盛り下がったと感じる理由の集計結果は、表8-2に示すとおりである。最も多いのは、オンラインで行われていた会議や講演会が、対面のみになったという意見であった。その他の理由としては、デジタルコンテンツの更新が行われなくなった、デジタル技術を活用する機会が減った、デジタル技術について耳にする機会が減った、という意見があった。

盛り下がっていないと感じる理由の集計結果は、表8-3に示すとおりである。最も多かったのは「デジタル活用の定着」で、コロナ禍で当初はやむを得ずデジタル技術を使うことになったが、徐々に定着しデジタル技術を使うことが当たり前になった、という意見であった。デジタル技術を使った方が便利であることが共通認識になり、今後も継続を期待するという意見も多く見られた。今後は対面でのイベントの復活が予想されるが、デジタルの活用も継続され、リアルとデジタルのハイブリッドで行われることが期待されている。


表8-1 集計結果


表8-2 盛り下がったと感じる理由


表8-3 盛り下がっていないと感じる理由


(9)全国遺跡報告総覧や文化財総覧WebGISに追加してほしい機能は?

回答内容を分類分けし、集計を行った。

全国遺跡報告総覧への要望は、データ拡充(4件)・新規機能追加(4件)、検索機能強化(2件)、操作性向上(1件)の順に多い結果となった。具体的な内容は以下のとおりである。

◇全国遺跡報告総覧への要望

【データ拡充】

・3Dデータ登録

・高精細PDFの公開

・埋蔵文化財以外の文化財についての入力項目(所収遺跡にあたる箇所)の充実

・著作権の状態表示(刊行年から保護期間満了時期を自動入力)

【新規機能追加】

・ジャパンサーチとの連携

・デジタルアーカイブのサイトの一覧

・報告書からサイトへの遷移

・AIによる要約機能

【検索機能強化】

・もっと分かりやすく横断検索できるように

・キーワード検索語に絞り込む際に、【発行機関】都道府県から市町村へ細分できるように

【操作性向上】

・抄録、報告書ページを見てから、検索結果一覧ページに戻ると、ページの頭に戻ってしまう。最後に確認した位置に戻るよう固定の設定をして欲しい。

◇文化財総覧WebGISへの要望

回答内容を分類分けし、集計を行った。

文化財総覧WebGISへの要望は、データ拡充(6件)・背景地図追加(5件)、更新機能(3件)の順に多い結果となった。具体的な内容は以下のとおりである。

【データ拡充】

・ウィキペディアで記事が書かれた遺跡・博物館のマッピング

・一般の方、学校での授業で触れることができるようなハードルの低いわかりやすいポイントが各遺跡で分かるように

・文化財の情報に写真を掲載

・報告されていない周知の埋蔵文化財の表示

・災害痕跡の表示

・文化財関連施設の位置情報

【背景地図追加】

・陸軍測量図

・オープンストリートマップ

・国土数値情報行政区域データ (昭和と平成の大合併前後)

・0.5mDEMのCS立体図

・赤色立体図

【更新機能】

・遺跡範囲の情報を更新できるように

・各自治体で情報を更新できるように

・全国遺跡報告総覧で更新した情報を(任意のタイミングで)、文化財総覧WebGISへ反映できるように


引用-システム内 :
引用-システム外 :
使用データリポジトリ画像 :
NAID :
都道府県 : 奈良県
時代 :
文化財種別 :
遺跡種別 :
遺物(材質分類) :
学問種別 :
テーマ : 事業報告
キーワード : デジタルアーカイブ 著作権 権利処理 全国遺跡報告総覧 データベース 規約 デジタル化 発掘調査報告書 肖像権 スタイリー
データ権利者 : 三谷直哉
総覧登録日 : 2024-03-27
wikipedia 出典テンプレート : {{Citation ... 開く
wikipedia 出典テンプレート : {{Citation|first=直哉|last=三谷|contribution=文化財デジタルアーカイブ課程受講者アンケートの結果報告|title=デジタル技術による文化財情報の記録と利活用|date=20240328|url=https://sitereports.nabunken.go.jp/online-library/report/44|publisher=独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所|series=デジタル技術による文化財情報の記録と利活用|issue=6}} 閉じる