東北地方北部における平安時代の雑穀利用に関する考古学的研究
An Archaeological Study of Utilizing the Minor Grains in the Northern Tohoku Region during the Heian Period
福島 正和
( FUKUSHIMA Masakazu )
平安時代の東北地方北部においては、雑穀利用を示す考古資料が多く認められる。遺構では平安時代の貯蔵穴、遺物では手鎌の出土、雑穀そのものの遺存体の考古学的検討から平安時代の雑穀利用について考察した。また、これらの考古資料は、三陸沿岸地域北部から岩手県北部以北にかけて10世紀以降に増加するが、この地域は中世に盛行する著名な馬産地とほぼ重なるため、雑穀が馬匹生産における飼料として利用され、その需要増が関連資料増加の引き金になっていると考察した。