下耳切第3遺跡出土土器付着炭化物の自然科学的分析 -年代測定値と安定同位体比の報告-
遠部 慎
( 宮田 佳樹 )
筆者はこれまでに宮崎県下における縄文時代前半期を中心とする年代測定を行ったが(遠部・宮田 2008、遠部2014、遠部・宮田2017)、他地域とも整合的なデータが得られている。本研究では、高鍋町に所在する下耳切第3遺跡(今塩屋ほか編2006)から出土した縄文時代後期の土器付着炭化物の炭素 14年代測定を行ったので、その結果を報告する。試料の採取は、遠部が行った。試料の前処理は、AMS年代測定は名古屋大学(NUTA)によるものである。測定結果は計測値(補正)とともに、実年代の確率を示す較正年代値を示した。また、その根拠となった較正曲線を示した。これまで、年代測定例の少ない三万田式土器の重要な測定例となるとともに、安定同位体比の分析を行った。その結果、埋設土器の性格を考える上でも興味深いデータが得られたので、報告することにしたい。