愛知県一色青海遺跡における昆虫化石を用いた古環境復元
奥野 絵美
本研究では昆虫化石分析の結果をもとに、一色青海遺跡( 愛知県稲沢市) における弥生時代中期の古環境について述べる。一色青海遺跡で弥生時代中期後葉の河道400NR、大溝200SD・600SD から試料を採取し、昆虫化石分析を行った。200SD から得られた合計135 点の昆虫化石群集には、ヒメコガネAnomala rufocuprea やコガネムシMimela splendens など、食葉性のコガネムシ群を中心とした食植性昆虫が多く認められた。この結果から、一色青海遺跡とその周辺に広葉樹を中心とした木本類や、マメ科植物・ブドウなどの果樹からなる植生が広がっていたと推定できる。また、200SD から見つかったコガネムシのAMS14C 年代測定を行ったところ、162calBC-2calAD の値を示した。